10.植物(草木一般)

「花」「桜」のつく季語:
   〈花 hana、花片 ーbira、花盛 ーzakari、花の陰 ーno kage、花の雲 ーno kumo、
   花埃 ーbokori、花筏 ーikada 〉   
   〈桜/さくら sakura、桜山 sakura yama、楊貴妃桜 youkihi zakura、鬱金桜 ukon zakura〉   
   〈ソメイヨシノ/染井吉野 somei yoshino
   〈初桜 hatu zakura、初花 hatsu hana〉   
   〈彼岸桜 higan zakura〉   〈枝垂桜 shidare zakura、糸桜 ito zakura、紅枝垂 beni shidare〉   
   〈夜桜 yozakura、朝桜 asazakura、夕桜 yuuzakura、桜月夜 sakurazukio〉   
   〈山桜 yama zakura 〉   〈八重桜 yae zakura〉   〈さとざくら sato zakura〉     
   

     花の雲鐘は上野か浅草か     松尾芭蕉 
     さびしさや花のあたりのあすなろう     松尾芭蕉 
     雲を呑んで花を吐くなるよしの山     与謝蕪村 
     海手より日は照りつけて山ざくら     与謝蕪村
     花の香や嵯峨のともし火消ゆる時     与謝蕪村
     人に花大からくりのうき世哉     小林一茶
     花さくや三味線にのる御念仏     小林一茶
     咲花やけふをかぎりの江戸住居     小林一茶
     銭湯で上野の花の噂かな     正岡子規
     咲き満ちてこぼるる花もなかりけり     高浜虚子
     手にうけて開け見て落花なかりけり     高浜虚子
     ゆさゆさと大枝ゆるゝ桜かな     村上鬼城
     こしかたのゆめまぼろしの花野かな     久保田万太郎
     したゝかに水をうちたる夕ざくら     久保田万太郎
     風に落つ楊貴妃桜房のまま     杉田久女
     空をゆくひとかたまりの花吹雪     高野素十
     朝飯をわづかに食へり散るさくら     石田波郷
     花ちるや瑞々しきは出羽の国     石田波郷
     夜桜やうらわかき月本郷に     石田波郷
     夜桜やひとつ筵に恋敵     黛まどか
     嵐にも散らぬ桜ぞたくましき     稲森如風
     写真撮る指もかじかむ桜かな     稲森如風
     青空を待って桜の散歩道     稲森如風
     透き通る枝垂れ桜の風のあと     稲森如風
     花房のあふれて重しさとざくら     稲森如風
     あでやかに今日をいろどるさとざくら     稲森如風
     四十雀鳴くや花待つ江戸桜     稲森如風
     駒沢の花の初めは七つ八つ     稲盛如風
     桜は言う「まひわの群だ きれいだねエ」     稲盛如風
     鈴なりの寒緋桜や花の陰     稲盛如風
     三日目はほうと見上げる桜かな     稲盛如風
     五日目は酒が目当ての花筵     稲盛如風
     七日目は人を誘って見る桜     稲盛如風
     八日目は姿選んで見る桜     稲盛如風
     九日目花はひと目で宴かな     稲盛如風
     十日目は寄り添うて見る桜かな     稲盛如風
     青空やぶらり呑川桜狩り     稲盛如風
     ゆうらりと嵐をかわす桜かな     稲盛如風
     満開の花は若葉の初めかな     稲盛如風
     遠桜はや新緑の並木かな     稲盛如風
     花むしろ色なき風の姿かな     稲盛如風
     花の色は移る間もなく散りにけり     稲盛如風
     花見客まばらになりぬさとざくら     稲盛如風
     幽谷の滝か枝垂るる桜見ゆ     稲盛如風
     喰うは鬼食わぬが花の尾長鴨     稲盛如風
     もう咲くの気分次第と言う桜     稲盛如風
     散るよ桜咲くよと四十雀     稲盛如風
     蕉蕪茶や花待つ人は粋がらず     稲盛如風
     満開の高遠桜や開花の日     稲盛如風
 
 

   〈花吹雪 hanafubuki、散る桜chiru sakura、落花 rakka、飛花 hika、花散る hanachiru、
   花屑 hanakuzu、花の塵 hana no chiri〉   
   〈残花 zanka、残る花 nokoru hana、名残りの桜 nagori no sakura 〉   
   〈遅桜 oso zakura 〉  
   〈桜蘂降る sakura shibe furu、桜蘂 sakura shibe〉   

     この日知る静心なき桜かな     稲森如風
     青空へ花と別るる鳥の声     稲森如風 
     花乗せて番いのかもの波模様     稲森如風
     散りしきる花呑川は流れゆく     稲森如風
     残る花木の間を風が吹き抜ける     稲森如風
     青空の花を惜しむや四十雀     稲森如風
     仰ぎ見てゆきつもどりつ遅桜     稲森如風
     花が散る尺八の音も淋しそう     稲森如風
     蕊の道この先曲がれば遅桜     稲森如風
     残る花ひとつひとつにさよならを     稲森如風
     花吹雪鬱も迷いもこだわりも     稲盛如風
     風によらず滝にはあらず散る桜     稲盛如風

「芽」に関する季語:
   〈木の芽 ko no me、芽立ち、芽吹く〉 
   〈木の芽 ko no me、ー風 ーkaze、ー晴 ーbare、ー雨 ーame、ー山 ーyama〉

     隠岐や今木の芽をかこむ怒濤かな      加藤 楸邨
     夕月の空に木の芽も影絵かな     稲盛如風
 

   〈山椒の芽 sansyo no me、芽山椒 me zansyou、山椒の木の芽 sansyo no kinome、木の芽 kinome〉   
   〈楤の芽 tara no me、多羅の芽 tara no me、たら芽 tara me、楤摘む tara tsumu〉   
   〈柳の芽 yanagi no me〉   
   〈芽 me、ものの芽 monono me〉、   〈草の芽 kusa no me、名草の芽 nagusa no me〉、   
   〈蕗の芽 fuki no me、蕗の薹 〉     【参考:蕗 fuki(夏)】

     芳草の第一番が蕗の薹(ふきのとう)     阿波野青畝

   〈萱草の芽 kanzou no me〉 
   〈甘草の芽 kanzou no me〉     【参考:甘草 kansou (夏)】  

     甘草の芽のとびとびのひとならび      高野 素十  

   〈薔薇の芽 bara no me〉     【参考:薔薇 bara(夏)】   
   〈牡丹の芽 botan no me〉     【参考:牡丹 botan(夏)】   
   〈菖蒲の芽 syoubu no me〉     【参考:菖蒲 syoubu(夏)】   
   〈蘆の芽 ashi no me、蘆の角 ashi no tsno、蘆の錐 ashi no kiri 〉     【参考:蘆 ashi(秋)】   
   〈末黒の芒 suguro no susuki、すぐろ suguro〉   

「木」に関する季語:
 落葉高木/小高木

   〈梅/うめ ume、花の兄 hana no ani、野梅 noume / yabai、匂草 nioi gusa、
    春告草 harutsuge gusa〉

     梅に雨めじろにも雨わたしにも     稲森如風
     花散りて燃ゆる残り香梅の枝     稲森如風
     梅香るランチ忙しきめじろかな     稲森如風
     「きれいだねぇ」母の目追う子 梅の花     稲森如風
     ピュルピュルと鳴いて梅吸う目白かな     稲盛如風
     青空にほころぶ梅や三分咲き     稲盛如風
     梅遅し思うは人の勝手かな     稲盛如風
     お絵描き隊小学生の梅見かな     稲盛如風
     鵯の喰うは食べるは梅の花     稲盛如風
     朝の陽や金縷梅越しに梅の花     稲盛如風
     梅の名は紅千鳥とか風寒し     稲盛如風
     黄門さん目に入らぬかと梅の花     稲盛如風
     青美空梅まつ人の心映え     稲盛如風
     後楽の梅の里見る都かな     稲盛如風
     梅北風吹くも梅の目白はたじろがず     稲盛如風
     鵯やどさりどさりと梅伝い     稲盛如風
     梅に目白撮ったつもりがお尻かな     稲盛如風
     梅満開ピント合う花合わぬ花     稲盛如風
     山茱萸に金縷梅の花梅の友     稲盛如風
     梅が香に椿の花の目覚めけり     稲盛如風
     梅散るよ桜咲くよと四十雀     稲盛如風
 

  
   〈白梅/はくばい/しらうめ haku bai  / shira ume〉、〈紅梅 koubai、薄紅梅 usu koubai〉   

     紅梅や入日の襲う松かしは     与謝蕪村
     しら梅に明くる夜ばかりとなりにけり     与謝蕪村
     梅が香やどなたが来ても欠茶碗     小林一茶
     梅の翳(かげ) 女の顔を 切りにけり     阿波野青畝
     梅の花めじろ見えたり隠れたり     稲森如風
     梅白しどこにいるやらめじろの目     稲森如風
     白梅や去年は気付かぬめじろかな     稲森如風
     白梅のアロマテラピーめじろかな     稲森如風
     飼うはあわれ飼わぬが梅のめじろかな     稲森如風
     梅満開ひよどり親分独り占め     稲盛如風
     朝陽射す一輪八重の初紅梅     稲盛如風
     孫の顔見るほころびや梅の花     稲盛如風
     白梅や帽子に響く雨の音     稲盛如風
     白梅や咲いたと言える一分咲     稲盛如風
     白紅梅駒沢美人粋面図     稲盛如風
     白梅の咲くやさらりと朝日影     稲盛如風
     白梅は赤子のほほや下ぶくれ     稲盛如風
     白梅の白や雲とは違う白     稲盛如風
     紅白梅散り敷くも見る雨上がり     稲盛如風
     白梅や三日見ざれば雨上がり     稲盛如風
     一輪の紅梅で足る夕べかな     稲盛如風
     白梅に目白乳吸う赤子かな     稲盛如風
     白梅に目白乳吸う赤子かな     稲盛如風
     紅梅や別れ間近の空と雲     稲盛如風
 

  
   〈枝垂れ梅/しだれうめ shidare ume〉

     誇らしや裾を端折りて枝垂れ梅     稲森如風
     なまめかし脛のぞかせて枝垂れ梅     稲森如風
     枝垂れ梅アクロバットのめじろかな     稲森如風
     枝垂れ梅まだ見過ごしてしまうほど     稲森如風
     枝垂れ梅明ければ春の雪柳     稲森如風
     枝枝垂れ梅花の初めや楚々として     稲森如風
     満開の枝垂れ白梅間近かな     稲森如風
     眺めつつ犬にせかされ枝垂れ梅     稲森如風
     白梅に頬を染めるや枝垂れ梅     稲森如風
     尨犬の顔して白梅枝垂れかな     稲森如風
 

   〈盆梅/ぼんばい bon bai、鉢の梅 hachi no ume〉
   〈黄梅/おうばい oubai 、迎春花 gei syun ka〉
   〈金縷梅 man saku〉

     金縷梅に手合わす人や占い師     稲森如風
     朝の陽や金縷梅越しに梅の花     稲森如風

   〈山茱萸の花/さんしゅゆのはな san syuyu no hana、春黄金花 haru kogane bana〉   
   〈辛夷/こぶし kobushi、花辛夷 hana kobushi、田打桜 tauchi zakura〉   
   〈の花/もものはな momo no hana、白桃 shiro momo、緋桃 hi momo〉

     葛飾や桃の籬(まがき)も水田べり     水原 秋桜子
     吊るし雛桃の花咲く時を待つ     稲森如風
     梅の先金縷梅淡く黄を添える     稲盛如風
     山茱萸の花を数えてボケ知らず     稲盛如風
     東京に北国の空こぶし咲く     稲盛如風
     辛夷咲く不屈の闘志湧くごとく     稲盛如風
     山茱萸の花咲く鄙の茶店かな     稲盛如風
     山茱萸に金縷梅の花梅の友     稲盛如風
     青美空白梅山茱萸満作図     稲盛如風

   
   〈花蘇芳/はなずおう hana zuou、蘇芳の花 suou no hana〉   
   〈土佐水木/とさみずき tosa mizuki、日向水木 hyuuga mizuki〉   
   〈海棠/かいどう kaidou〉   

     風の中もみじ若葉と花海棠     稲森如風
     花海棠桃割れ髪にかざさばや     稲森如風
 

   〈リラ rira、ライラック rairakku〉   
   〈の花/かえでのはな kaede no hana、花楓 hana kaede〉  【参考:若楓 waka kaede(夏)、楓 kaede(秋)】   
   〈銀杏の花/公孫樹の花/いちょうのはな ichou no hana〉 
       【参考:銀杏 gin nan (秋)、銀杏散る ichou chiru (秋)】
   〈柳/やなぎ yanagi、枝垂柳 shidareー、糸柳 itoー、青柳 aoー、川端柳 kawabataー、泥柳 doroー〉   
   〈柳絮/りゅうじょ ryuujyo、柳の絮 yanagi no wata、柳の花 yanagi no hana〉 
  

     振り替る柳の色や雨あがり     小林一茶
  

   〈桑/くわ kuwa、山桑 yama guwa、桑の芽 kuwa no me、桑の花 kuwa no hana〉   
   〈榛の木の花/はんのきのはな〉

     はんの木のそれでも花のつもり哉     小林一茶
     はんの木の花咲く窓や明日は発つ     高野素十

   (花水木/はなみずき hanamizuki)
 

     風吹かばひらりと揺れる花水木     稲森如風
     花水木乙女心の色に咲く     稲森如風
     花水木したたる雨の露ひとつ     稲森如風
     花水木白、色となる雨上がり     稲森如風
     花水木緑の中に浮かぶ雲     稲森如風
     ねじれ花明日は真白き花水木     稲盛如風
     うす紅の恋か希望か花水木     稲盛如風
     大空にヒラリと真白花水木     稲盛如風
     梅こぶし桜もくれん花見月     稲盛如風

 落葉低木/小低木:
   〈猫柳/ねこやなぎ neko yanagi 、えのころ柳 enokoro yanagi〉   
   〈木五倍子/木付子/きぶし ki bushi〉   
   〈五加木/五加/うこぎ ukogi、五加飯 ukogi meshi、むこぎ mukogi〉   
   〈三椏の花/みつまたのはな mitsumata no hana〉   
   〈木瓜の花/ぼけのはな boke no hana〉   
   〈草木瓜/くさぼけ kusa boke、樝子の花/しどみのはな hidomi no hana〉   
   〈木蓮/もくれん moku ren、紫木蓮 shi moku ren〉  

     戒名は真砂女でよろし紫木蓮     鈴木真砂女
     紫木蓮におうがごとき花の姿     稲森如風
     紫木蓮わが人生と真砂女かな     稲盛如風

   〈白木蓮/はくれん kaku ren、白木蓮 haku moku ren〉   
   〈雪柳/ゆきやなぎ yuki yanagi、小米花 kogome bana、小米桜 kogome zakura、米柳 kome yanagi〉 

     雪柳雨の雫の耳飾り     稲盛如風
     白木蓮あふれる命いずこより     稲盛如風
     夕暮れの家路に明かり雪柳     稲盛如風
 

  
   〈小粉団の花/こでまりのはな kodemari no hana、団子花 dango bana〉   
   〈連翹/れんぎょう renngyou〉   

     連翹や冬を捨て去る花の色     稲森如風

   〈満天星の花/灯台の花/どうだんのはな doudan no hana、満天星躑躅/灯台躑躅 doudan tsutsuji〉   

     風よ吹け満天星の鈴ならせ     稲森如風
 

   〈山吹/やまぶき yamabuki、八重山吹 yae yamabuki,、濃山吹 ko yamabuki、白山吹 shiro yamabuki〉   

 

     ほろほろと山吹散るか瀧の音     松尾芭蕉
     夜濯ぎの母へ山吹流れつけよ     寺山修司
     山吹の花喰う虫の不況かな     稲森如風

   〈枸橘の花/からたちのはな karatachi no hana、枳殻の花 kikoku no hana〉   
   〈木苺の花/きいちごのはな kiichigo no hana 、ラズベリー razuberii、ブラックベリー,burakkuberii〉   
   〈接骨木の花/にわとこのはな niwatoko no hana、たずの花 tazu no hana〉   
   〈山楂子の花/さんざしのはな sanzashi no hana〉   

 落葉・つる性:
   〈藤/ふじ fuji、山藤 yama fuji、白藤 shira fuji、藤浪 fuji nami、藤房 fuji fusa、むらさきぐさ murasaki gusa〉
 

     草臥(くたび)れて宿借る頃や藤の花     松尾芭蕉
   

   〈通草の花/あけびのはな akebi no hana、三葉通草 mitsuba akebi〉   

 常緑高木/小高木:
   〈椿/つばき tsubaki、白椿 shiroー、紅椿 beniー、八重椿 yaeー、乙女椿 otomeー、藪椿 yabuー、山椿 yamaー〉 
    〈落椿/おちつばき ochi tsubaki〉     【参考:椿の実 tsubaki no mi(秋)】   
 

     古庭に茶筌花さく椿かな     与謝蕪村
     赤い椿白い椿と落ちにけり     河東碧梧桐
     掃くは惜(お)し掃かぬは憂(う)しや落椿     阿波野青畝
     落椿蟻うつむきて近より来     金子兜太
     麗しや日々装える紅乙女     稲森如風
     仰ぎ見る「プリンセス オブ カメリア」と     稲森如風
     雨の露こごえる花よ八重椿     稲森如風
     湯上りの肌のほてりや濡れ椿     稲森如風
     椿咲くたぶん雄だろぼけのかる    稲森如風
     闇の夜にポッと浮かびし椿かな     稲盛如風
     あけぼのはこずえの乙女椿かな     稲盛如風
     放射能降るもものかは紅乙女     稲盛如風
     紅乙女花の満月今日限り     稲盛如風
     椿咲くお椀の舟の形して     稲盛如風
     雨露の滴る椿咲きにけり     稲盛如風
     雨上がり乙女椿の涙かな     稲盛如風
     梅が香に椿の花の目覚めけり     稲盛如風
     はじらいや乙女椿に朝陽射す     稲盛如風
 

   〈の花/すぎのはな sugi no hana、杉花粉 sugu kafun〉   
   〈花粉/かふん kafun〉   
   〈ミモザ mimoza、銀葉アカシア ginba akashia〉

     ミモーザを活けて一日留守にしたベットの白     河東碧梧桐 

   〈の花/しきみの花 shikimi no hana、こうしば koushiba、はなのみ hananomi〉   
   〈の芯/まつのしん matsu no shin、緑立つ midori tatsu、若松 wakamatsu、松の緑 matsu no midori〉   

 常緑低木/小低木:
   〈沈丁花/じんちょうげ jin chou ge、沈丁/ちんちょう chin chou、瑞香/ずいこう zuikou〉
   

     梅の後桜待つ日々沈丁花     稲森如風
     沈丁花香り吹き飛ぶ風の中     稲森如風

   〈馬酔木の花/あしびのはな ashibi no hana 〉

     来しかたや馬酔木咲く野の日のひかり       水原 秋桜子
     毒のある人の涙か馬酔木咲く     稲盛如風
     馬酔木咲く毒といえども好きは好きく     稲盛如風
 

   〈エリカ erika、ヒース hiisu〉   
   〈アザレア azarea〉   
   〈石楠花/しゃくなげ syakunage〉   
   〈ピラカンサの花 pirakansa no hana、常盤山楂子 tokiwa sanzashi〉   

 常緑・つる性:
   〈郁子の花/むべ:のはな mube no hana、うべの花 ube no hana〉     【参考:郁子 mube (秋)】   

 多年生植物:
   〈の秋/たけのあき take no aki、竹秋 chikusyuu、笹の秋 sasa no aki〉
         【参考:竹の春 take no haru(秋)、笹散る sasa chiru(夏)】

 「その他の木」関連の季語:
   〈躑躅/つつじ tsutsuji、山躑躅 yama tsutsuji、霧島 kiri shima〉   【参考:落葉・常緑各種あり】
 

     つつじ咲いて石移したる嬉しさよ     与謝蕪村
     土石流まぬがれ燃ゆる躑躅かな     阿波野青畝
     光る露白いつつじの雨上がり     稲森如風
     葉群より花咲き出ずるつつじかな     稲森如風
     つつじ蕊放つ光の強さかな     稲森如風
     野のつつじ花向く先の気ままさよ     稲森如風
     朝な夕な亡き母と見るつつじかな     稲盛如風
     バス停の躑躅は今日も人を待つ     稲盛如風
 

   〈蘖/ひこばえ hikobae、ひこばゆる hikobayuru〉   
   〈春落葉/はるおちば haruotiba〉       【参考:常盤木落葉 tokiwagi ochiba(夏)】