1.時候(季節・月名・陽気)

夏(なつ natsu):俳句における季節(季語)の分類は、「二十四節季と季節の定義」を参照してください。
   炎帝 entei、三伏 sanpuku、朱夏 syuka、夏場 natsuba、三夏 sanka、
   初夏 syoka/hatsunatsu、仲夏 chuuka、晩夏 banka
   立夏 rikka、小満 syouman、芒種 bousyu、夏至 geshi 小暑 syousyo、大暑 taisyo
 

     芥川竜之介仏大暑かな     久保田万太郎
     大暑の日は血が濃くなりぬ睡くなりぬ   山田みずえ
     遠く聞くシュピシュピケキョで明ける夏     稲森如風
     ロシア調夏のハルピン通り雨     稲森如風
     脚長の影はまぼろし夏終る     稲森如風

「月の呼称」の季語:
   (卯月/うづき u zuki、卯の花月 u no hana zuki):
      旧暦4月の異称、現在では新暦4月の別名としても用いる。

   (皐月さつき sa tsuki、五月雨月 sa mi dare zuki、早苗月 sa nae zuki):
      旧暦5月の異称、現在では新暦5月の別名としても用いる。

   (水無月/みなづき mi na zuki、常夏月 toko natsu zuki
      旧暦6月の異称、現在では新暦6月の別名としても用いる。

     六月や峯に雲おく嵐山     松尾芭蕉
     六月を奇麗な風の吹くことよ    正岡子規

「暑さ」に関する季語:
   〈薄暑/はくしょ hakusyo、軽暖 keidann 〉
   〈暑し/あつし atsushi、暑気 syoki、暑苦し atsu kurushi、蒸し暑い mushi atsui〉    【寒し samushi(春)】
   〈炎暑/えんしょ ensyo、炎熱 ennetsu 〉
   〈極暑/ごくしょ gokusyo、酷暑 kokusyo、褥暑 jyokusyo 〉
   〈灼くる/やくるyakuru、熱し atsushi、熱砂 nessa、熱風 neppuu、灼岩 yakeiwa、炎ゆる moyuru〉
   〈暑中/しょちゅう syochuu、土用 doyou、土用入 doyouiri、土用太郎 doyoutarou、土用照 doyouderi、土用明 doyouake〉

     穀値段どかどか下る暑さかな     小林一茶
     灼岩と見れば首あり亀の甲     稲森如風

「涼しさ」に関する季語:
   〈露涼し tsuyusuzushi、夏の露 natsunotsuyu、水涼し mizusuzushi、雨涼し amesuzushi〉
   〈燈涼し/ひすずし hi suzushi〉 

     此のあたり目に見ゆるものは皆涼し     松尾芭蕉
     涼しさや鐘をはなるるかねの声     与謝蕪村
     大の字に寝て涼しさよ淋しさよ     小林一茶
     涼しさや松這ひ上る雨の蟹     正岡子規
     死に死にてここに涼しき男かな     村上鬼城
     電動鋸すきとほる刃の涼しさよ     長谷川櫂

「夏」のつく季語:
   〈夏めく/なつめく natsu meku〉
   〈盛夏/せいか seika、夏壮ん natsusakan、真夏 manatsu〉
   〈夏の朝/なつのあさ natsu no asa、夏暁 natsu ake、夏の夜明け natsu no yoake〉
   〈夏の昼/夏の午/なつのひる natsu no hiru、炎昼 enchuu〉
   〈夏の宵/なつのよい natsu no yoi、夏の暮 natsu no kure、夏の夕 natsu no yuu〉
   〈夏の夜/なつのよる natsu no yoru、夜半の夏 yowa no natsu〉
   〈夏の果/なつのはて natsu no hate、夏果 natsuhate、夏の別れ natsunowakare、夏行く natsuyuku〉
   〈夏惜しむ/なつおしむ natsu osimu〉
 

     夏の闇鶴を抱へてゆくごとく     長谷川櫂
     たまごかと思えば夏の松ぼくり     稲森如風
     夏の日や歌い出しそな花と雲     稲盛如風
     

「夜」のつく季語:
   〈短夜/みじかよ mijikayo、明易し ake yasushi 〉
   〈白夜/びゃくや byakuya、白夜/はくや hakuya 〉
   〈熱帯夜/ねったいや nettaiya〉
   〈夜の秋/よるのあき yoru no aki、夜の秋/よのあき yo no aki〉     【秋の夜 aki no yo(秋)】

     短夜や毛むしの上に露の玉     与謝蕪村
     余命いくばくかある夜短し     正岡子規

「梅雨」のつく季語:
   〈梅雨入/つゆいり tsuyu iri、入梅 nyuubai、梅雨に入る tsuyu ni iru〉
   〈梅雨寒/つゆざむ tsuyuzamu、梅雨冷 tsuyubie〉     【苗代寒 nawashiro zamu(春)】
   〈梅雨明/つゆあけ tsuyu ake、梅雨あがり tsuyu agari〉
 

     青空としばしの別れ梅雨の入り     稲森如風
     青空やゲリラ豪雨の梅雨半ば     稲森如風
     梅雨がらす鳴くや椋鳥立ち姿     稲盛如風

その他の季語:
   〈若葉冷え/わかばびえ wakaba bie〉
   〈麦の秋/むぎのあき mugi no aki、麦秋 mugiaki / bakusyuu〉
   〈秋近し/あきちかし aki chikashi、秋を待つ aki o matsu、秋隣 aki donari〉
     【春隣 haru donari(冬)、夏隣 natasudonari(春)】