種田山頭火の俳句

うしろすがたのしぐれてゆくか　　　　　山頭火

（うしろすがたの　しぐれてゆくか）
（ushirosugata no shigure te yuku ka）

うどんを供へて、母よ、わたくしもいただきまする　　　　山頭火

（うどんをそなえて、ははよ、わたくしもいただきまする）
（udon o sonae te haha yo watakushi mo itadaki masu ru）

おちついて死ねそうな草枯るる　　　　　山頭火

（おちついて　しねそうな　くさかるる）
（ochitsui te shinesou na kusa karu ru）　　

へうへうとして水を味ふ　　　　　山頭火

（ひょうひょうとして　みずを　あじわう）
（hyou hyou to shi te mizu o ajiwau）

ほろほろ酔うて木の葉ふる　　　　　山頭火

（ほろほろようて　このはふる）
（hor ohoro you te konoha furu）

わけ入っても分け入っても青い山　　　　　山頭火

（わけいっても　わけいっても　あおいやま）
（wake ittemo wake ittemo aoi yama）

一日物いわず海にむかへば潮満ちて来ぬ　　　　　山頭火

（いちにちものいわず　うみにむかえば　しおみちてきぬ）
（ichinichi mono iwazu umini mukaeba shiomichite kinu）

鉄鉢の中へも霰　　　　　山頭火

（てっぱつのなかえも　あられ）
（teppatsuno nakaemo arare）

いちにち物いはず波音　　　　　山頭火

（いちにち　ものいわず　なみおと）
（ichinichi monoiwa zu nami oto）
 

一りん咲けばまた一りんのお正月　　　　　山頭火

（いちりんさけば　またいちりんの　おしょうがつ）
（ichirin sake ba mata ichirin no osyougatsu）
 

鴉啼いてわたしも一人　　　　　山頭火

（からすないて　わたしもひとり）
（karasu nai te watashi mo hitori）
 

霧島は霧にかくれて赤とんぼ　　　　　山頭火

（きりしまは　きりにかくれて　あかとんぼ）
（kirishima wa kiri ni kakure te akatonbo）
 

鈴をふりふりお四国の土になるべく　　　　　山頭火

（すずをふりふり　おしこくのつちに　なるべく）
（suzuo furi furi oshikoku no tsuchi ni naru beku）
 

生死の中の雪ふりしきる　　　　　山頭火

（せいしのなかの　ゆきふりしきる）
（seishi no naka no yuki furi sikiru）
 

てふてふひらひらいらかをこえた　　　　　山頭火

（ちょうちょ　ひらひら　いらかをこえた）
（choucho hira hira iraka o koeta）
 

また見ることもない山が遠ざかる　　　　　山頭火

（またみることもない　やまが　とおざかる）
（mata miru koto mo nai yama ga toozakaru）
 

まつすぐな道でさみしい　　　　　山頭火

（まっすぐなみちで　さみしい）
（massuguna michi de samishii）
 

もりもりもりあがる雲へ歩む　　　　　山頭火

（もりもりもりあがる　くもへあゆむ）
（mori mori mori agaru kumo e ayumu）
 

雪へ雪ふるしづけさにをる　　　　　山頭火

（ゆきへゆきふる　しずけさにおる）
（yuki e yuki furu shizukesa ni oru）